Tunes composed by 早





ニーチェにおけるエナンティオドロミーの可能性

 ニーチェは父母ともに敬虔なルター派キリスト教徒という家庭環境で幼少期を過ごしたが、彼が4歳の時に父が亡くなりキリスト教の神が善人を救うという教理に疑問を抱き始める。しかし厳格なキリスト者である母たちに育てられ、10歳頃には「小さな牧師さん」と呼ばれるほどの聖書の知識と聖歌の技術。


調べたところ、ニーチェをして決定的にキリスト教からの離反をさせたのは、16-17歳時のヘルダーリンの詩に対する研究。17歳で書いた論文『意志の自由と運命』および『歴史と命運』で、「神の絶対性」を疑いキリスト教のドグマより普遍的な人文知を求め始める。


ランボーもゲーテそうだったけど、幼少期から思春期青春期にかけてキリスト教を熱心に信じていたが後に強烈に疑いキリスト教から離反した人は文学や哲学のカテゴリーで大きな才能を発揮。それは単に、後者の懐疑に人文的深度があるからだけではなく、幼少の無垢な感受性で聖書の言葉に命の底から前教会的に感化を受けた賜物だろう。


20歳のニーチェはボン大学に入学して神学と古典文献学を専攻するが、神学の授業が思考の不誠実さに満ちていると評価し、1学期で神学を完全に放擲した。またニーチェは反キリストで有名で「神は死んだ」という思想史・哲学史を激動させた言葉を生んだ。


しかし、幼少期の聖書への傾倒が、どれほど彼ら文化的天才に霊感と知性の基盤を与えていたか、というのは重要な西洋人文系の研究になり得そうだ。ニーチェという究極の反キリストは、幼少期の「小さな牧師さん」と呼ばれていた頃の聖書の影響→教義(神学)や教会(キリスト教共同体)への批判へ至るエナンティオドロミー(心的対立転換)と見得る。

作家にならないと生計が立てられない

去年の5/15に精神科閉鎖病棟に入院し、12/29に退院となりましたが、不本意にも救護施設への入所を強制され、2024/12/29~2024/07、救護施設で暮らしていました。3月末からアルバイトで、5/25からフルタイム派遣社員で、コールセンターで働いていましたが、生活保護の関係で、6/1~6/30の給与手取り23万円のうち19万円を役所に没収されるということを知らされました。19万円あればなんとか安いアパートを借りることができ、生活保護を打ち切ることも可能であるにもかかわらず、役所はアパートでの生活を禁止しグループホームへの入所を義務付けてきました。


この19万円没収と、グループホーム入所強制という、行政による明白な人権侵害を回避するため、


救護施設から脱走しました!


最初は物価の安い(宿代1日1000円前後、食費1日500円、ビザ半年)インドに逃亡しようと思い、ビザも持っていたので航空券を買い、関西国際空港まで行きましたが、ビザの不備で飛行機に乗れず。乗り継ぎのベトナム・ハノイまでの飛行機には乗れ、ハノイの空港にたどり着きました。しかし、2年前ホーチミンに行ったときにパスポートでの滞在可能期間を3ヶ月超えて領事館に届け出のうえ長期滞在していた履歴により、ハノイの空港から市街には出してもらえず。


空港と航空会社の厚意により、空港の事務所の隣のベッドのある部屋で宿泊させてもらい、次の日、大阪へ帰還。


役所の人権侵害から逃れたまま、なんとか大阪市西成区の安い宿(一泊1200円)に落ち着いています。西成は1200円ほどの宿連泊でいつまででも暮らせるし、保証会社審査も不要な月額3万円ほどのアパートもあるので、しばらく治安はあまりよくありませんが西成に住んでいようと思います。

施設から逃亡したことにより、生活保護は恐らく7月で切れるので、働かないといけないのですが、事情がありオフィスや商店などでは働くことができない。工場、建設現場などでも。どうしてもフリーランスでないと働けない事情があり、今はなんとか自分の書く小説やエッセイを金にする方策を練っています。







7月に書いた短編小説をAI4者に評価させてみたら、文学賞受賞圏内(画像参照/80で受賞作品レベル)と結果が出たので、お金が持つ間にたくさん小説を書いて、まず新人文学賞を狙っていこうと思います。他にフリーランスで出来る仕事といえば、Webライターか翻訳あたりですが、翻訳はAIに仕事が取られるのと、Webライターは生計を立てるには収入が少なそうなので、作家を本気で目指そうと思います。

https://bloominghumanities.blogspot.com/2026/07/blog-post_14.html

集合的無意識と新技術戦争の予兆

日本にいるとね、「セキュリティがイヤモニ」(Mr.Children - Monster) する……。


アメリカ軍批判とかしすぎて、デジタル庁か防衛省から目つけられてて。インドのルーターでネットや小説投稿やりたいものだ。


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アメリカの戦争省(元国防総省)や、NSA、歴代大統領などについて調べると、頻繁に Chrome が「応答なし」になる。戦争省やDARPA(高等研究機関)、情報戦/認知戦=制脳戦 について調べたりすると、#TargetedInividuals に選定される可能性があるので注意してくださいね。日本においてもデジタル庁や防衛省が検閲に関わっている場合があります。


これが私の日常です。




パソコンは何度もハッキング等でシステム面をバグらされたりして、ここ15年で6台以上変わってるし、ネット契約も色々と変えてきたけど、下記状況は変わらず。


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ブッシュ大統領は福祉やエネルギー政策の充実に力を入れていた一方で、戦争に積極的な元空軍人。

https://en.wikipedia.org/wiki/George_W._Bush

 

あるCIA職員は死の間際にCIAが911を仕組み手配したと内部告発したが、真相はそういった陰謀ではなく、通常の想定通り、ウサマ・ビン・ラディンが首謀者だろう。そして911の後、G.W.ブッシュ大統領は戦争を乱発させた。


トランプ大統領は、第1期は中国と貿易戦争を行い、現在第2期は技術的な権益争い。中国の #ロボット兵器 や #AI とアメリカの #精神工学兵器 を考えると、情報戦・認知戦・制脳戦・サイバー戦はサイレントに水面下で非常に緊張状態。気象兵器などの存在も射程に入れ考えらえるのは、"民間人に見えない形の"軍事衝突。


私は2016年の大統領選挙の時点から継続的にトランプ大統領を支持していた。が、最近はあまりにも酷過ぎる、#DEW の乱用を行う戦争省に歯止めをかけていないという点で批判的になっている。DEW においては、対基地レーザー兵器だけでなく、対人兵器も存在している。TI事象を参照。


そして、米国戦争省が発表するところによると、米国陸軍省が「指向性エネルギー兵器」の被害職員に300万ドルの補償金を支給することを決定したとのこと。

https://war.gov/News/Releases/Release/Article/4540375/department-of-war-establishes-the-directed-energy-bio-effects-cross-functional/

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911を首謀したアルカイダは一人のカリスマ=ビンラディンで暴走していた。アルカイダに限らず、2000年以降は自爆テロが多発していた。


イスラム教の開祖ムハンマドは2代目カリフ=ウマルを待たずとも、自身が戦士でありカーバ神殿周辺を1万人の軍勢で攻め抜いた戦闘的預言者だった。一方、原理主義は、時代の要請を無視して開祖やアリーへの主客合一的同化を起こし、聖戦を僭称するが、それは致命的な現実錯誤に基づいている。つまりあの時代、20世紀末あたりは平和だった。日本も豊かで経済や政治の問題は少なく、世界的にも同様。世界ではユーゴスラビアでの紛争がありNATOが軍事介入するなどの問題はあったが、先進国が戦争をあちこちで起こすといったことはなかった。


ムハンマドには聖戦が必要だった。貧富の差、差別、神の欠如を滅ぼすため。しかし、イスラム原理主義は繰り返すが、平和な人類世界を現実の倒錯と唯一神や宗教的カリスマ者への過度な熱狂によるテロリズムで乱してしまった。


そしてブッシュ大統領やトランプ大統領の過ちは911など宗教戦争を、100%軍事戦争へと転換してしまったことだろう。宗教戦争という集合的病理を治療するには、イスラム教とキリスト教が思想上で和解する他ない。イランの過激な軍人や、シーア派の過激勢力を含めて、神の名のもとに集合的無意識の闘争を言論と思想で制御しなければ、ユダヤ人を殺戮したナチスのような異常事態がまた発生するだろう。軍事で民間人が犠牲になる前に、神を宥めなければならない。


2024年末からのパレスチナ地方での戦争や、イスラエル戦争には、前者においては非公式的に、後者においては公式的に、アメリカが強く軍事介入している。アメリカ軍は DEW や精神工学兵器を持っているので、ミサイルを飛ばさずステルスにイスラム勢力に対し戦争を行っている。


それより前に、認知戦の一形態として、集合的無意識を各自が自覚しなければ、現在も進行してしまっているイラン戦争など、戦争はいつまでも止まないだろう。ここ10年はロシア・ウクライナ戦争および中東が非常事態に陥っているが、第三次世界大戦を防ぐ鍵の一つは情報戦・認知戦における言論の炸裂的開花だろう。


集合的無意識の表れにおいての"象徴"と、ニーチェ-ナチスのラインにおけるニーチェの警鐘的預言者性についてのエッセイ↓

預言者の警鐘が無視されると、集合的無意識のダイナミズムで戦争が起こる。ナチスは反ユダヤ主義であると同時に、ゲルマン至上主義。オーディン。

https://bloominghumanities.blogspot.com/2023/10/blog-post.html


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日本は日米新安全保障条約と特定機密保護法のもとにアメリカの庇護下にあり、軍事や国際政治のレベルでは平和を享受していて(経済的危機は在る)、世界における戦争の主軸となっているテクノロジーの権益闘争からは隔離され、ムーショット計画というSF級都市計画が進んでいる。

https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/miraidiscussion.html



ワーグナー雑感 (20歳あたり頃)

  前略 ワーグナー帝国にようこそ!?


やっぱワーグナーさんは根本的には音楽家じゃない。ある種のファシズムやカルティズムを強烈に感じてしまう。ここまで極端に右かつ独善な音楽家はクラシック外ロック界にも稀なレベルかもしれない。


2~3の哲学者が、ワーグナーのことを、音楽家というより詩人だとか身振り狂言の俳優だとか、書いていたけど、まさにそっち系……? (もちろん音楽的にもものすごく卓越した作曲家には違いないと思うのですが) 詩人や俳優ならいいけど、独裁者とか洗脳家みたいに感じてしまい得る。


危ないカリスマロッカーよりもさらに危ないと思うあのメンタリティ。音楽性云々だけでなく危険度や破滅度も格が違う、規格外の何者か。それでいてその大いなる的な破滅を、ガチロッカーのように体現するのではなく。余裕をもって演じてみせて自分の音に狂酔する人せせら笑っているというような憎たらしさ!


あの人は何がしたかったのか。たぶん音楽創りそのものよりも、音楽で人を染め支配したかったのではないか? 我が王国をたとえ創作文化の次元であれ創設したかったのではないか? 雄大な音楽だな~と感じるときもあるけど洗脳してくるなーと感じるときもある。


自分のような、純粋に音楽的または数学的に音を聴くよりも雰囲気や情感を先に強く感じてしまいそこからイメージを連想してしまう人にとっては、ちょっとあの音キツいわ~。いい意味でも悪い意味でも中毒性高く感じます。いかがわしい洗脳じみたしかし偉大にちがいない表現技法による策術に乗せられ、自分がワーグナーの欲望に染められているとわかっていながらも、それでもあの凱旋を歌う帝国的な音の空間に引き釣り込まれてぬけだせず、しかしやはりああ素晴らしきかな感に没入してしまうというような。雄大で城の城門を連想させる序曲を入り口にして、奥へ進んで行くと豪華絢爛な部屋、そして第3楽章あたりから悲劇じみてきて呪わしい牢獄に幽閉されていく、そして最期を向かえるカタルシス。それを純粋に表現性を目的としたものだとしたらよいとしても、やはりワーグナーは奇術師や魔術師の類で、表現性の追求よりも自己の支配願望、精神的汚染を目的としているのではないかと感じられる。


やっぱね何か創る人は、能力より、根本的に真剣で誠意のある人がいいと思うんだ。欲望の塊の権化ワーグナーを最期にずたずたに批判したニーチェは正しかったに違いない。なんかニーチェって切なくなるこのごろ。我欲や支配欲を掲げて傲慢さえ正当化しながらも。結局は本質が優しくて極端に誠実すぎる人だったんだな~と。


ワーグナーのような雄雄しい音楽で大巨匠といえばやはりベートーヴェンだけれど、ベートーヴェンは誠実そのもの、もう頑固なほど音楽そのものの表現を命を賭して追求した作曲家だろう。それが楽聖とよばれる所以につながっているのかも。たとえばワーグナーが人にむけて自在に火をあやつるペテンの魔術師だとしたら、ベートーヴェンは自身を炎と化して音楽そのものになっているというような。


そういえばベートーヴェンのことを大ゲーテ先生は批判していた。ロマンティシズムの行き過ぎで危険すぎ、聴いていられないと。それはベートーヴェンの音楽が拙いなどというありえない理由ではなく、むしろベートーヴェンの病的な音楽的情熱が生み出す恐ろしいほど苦痛と情熱に満ちあふれていた音に、精神的な危機、これからの音楽界への危惧、などをゲーテの敏感な感性は感じ取ってしまっていたから。そしてその危惧は半ばあたり、半ばはずれ、ベートーヴェンの魔人的音楽はそこまで生まれなかったものの、古典派からロマン派へ移るときに、個人の情熱や感傷を描く音が増えて行った。そしてそのロマン派をニーチェはワーグナー以上にぼろかすに批判していた。詩界も含めて。


話をワーグナーにもどすと、その表現の技術に関してはボードレールがワーグナーを賛美していたが、それはあくまで表現技法についてであり、ワーグナーのメンタリティや作曲の意図に関してはボードレールはあんまり興味がなかったようだ。そう、ワーグナーはあの自我帝国的な作風だけでなく、そういう精神的傾向が先にあれども誰よりも音楽の表現の可能性を追求した人物でもある。その表現の技法の多様性にボードレールは惹かれ、韻文詩という半ば音楽的要素のある自分の分野にワーグナーの技法を応用したといわれている。


とにかくワーグナーという病的な巨人は、あらゆる芸術家、リスナーに、多大な影響を与えうる、あるいは思索家や批評家の対象としてライフワークにもなりうる人物だといえるのではないでしょうか。

近況 20260713

4月と5月はテレアポのアルバイトをしながら、FF11にハマっていて、それなりに穏やかな日々で残りの施設で過ごす日の消化としていました。しかし、そのテレアポの仕事がやや悪質な業務とわかってきたため、退職し、フルタイムでまともなところで働こうと思い立ちました。


5下旬にコールセンターのテレフォンオペレーターの仕事に応募し、採用され、約1ヶ月は問題なく働いていました。といっても、施設と生活保護の規定により15000円を超える分の給与は1/10役所に没収される(たとえば20万の給与とすると15000円+18500円=33500円にしかならない)為、労働意欲が削がれた状態ではありました。


でも若い人から年上の人まで幅広い同期の方々が数十名いて、研修2日目あたりでは、隣同士のペアの一方が他方を皆の前で紹介する、という面白いプログラムもあり、非常に良い職場環境の構築が見られました。


業務内容は慣れた自分にとっては簡単でしたが、電話と電話の間にPCで事務作業をするという点では、なかなかハードだったかもしれません。最初の1ヶ月はとにかく、難なく働いておりました。


その生活の過程で、私はXなどSNSを少しはやっておりました。そしてXでTCの重大事例のポストが目に入りました。また、ChatGPTにTCに関して相談をしていたところ、私には「証言文学」の適正があると意見を貰ったのでいつかは告発活動をしようと決めていました。その二つが重なり、心に火がついて、AmebaブログでLLRSというタイトルで、超先端技術の開示に繋がるような記事を主にAIとの対話形式で公開し始めました。労働しながら。


すると、詳細は言えませんが、TCが激化し、退職を余儀なくされました。詳細を知られたい方はXポストの6/25前後を参照願います。


現在はTC告発はほどほどに抑え、なんとか平常のXポストをしつつ、TCで乱れた生活も整えようとしています。散歩をして心身整えています。



哲学や物理学の理解をAIとの議論の中で深めるということにハマっており、とくにエヴェレットの多世界解釈によるマルチバースに魅せられている今日この頃です。

And Parallel?


哲学への情熱も復活しつつあり、図書館で借りたレヴィナスの伝記とドゥルーズの概論を少しずつ読みながら、様々な考えが湧出してきて、それを投稿したり纏めたりしております。


哲学の議論が好きな方は、是非ここのコメント欄にでもX@Haya23123にでもリプライ下されば、応答致します! 


7/11 に以前作った曲 ダブルゴースト (歌: 結月ゆかり) を公開しました!


「夢 切って裂いて 明日が二つ」

よかったら聴いてください! ジャンルが色々混ざったようなカオスな曲です。

ピアノリフを工夫した曲で、メロディも聴きやすいと思います。

昔持っていた今は亡きフェンダー・テレキャスターによるギターソロも入っております。

And, Trump?


各地で大洪水や地震の頻発など異常気象が見られます。

そして今年の夏は非常に暑いと予想されていますが、皆様におかれましても体調を整えられながら元気にお過ごしいただけることをお祈りします^^

サイバー・ゴースト (1/n)

 夕焼けの底には、パイプオルガンのようにビルの楼閣や巨大な煙突が太陽を犯すためのシンフォニーの準備をしていた。義孝はバッグからウィスキーの入った小瓶を取り出し、1000メートルほどある山の中腹の展望台から、暮れていく街を眺めていた。音は風と葉の音以外はなかったはずなのに、山に潜む妖精たちが今から歌い出す準備のために発声練習をしているのが、どこからともなく聞こえていた。疲れをアルコールで麻痺させ、クッキーを齧りながら義孝は恭子に電話をかけるため、ポケットを探った。スマートフォンは見当たらない。どうしても恭子に連絡する必要のある義孝は2分ほど呆然としていたが、タブレットのアプリケーションで連絡を取ろうと思いつき、実行に移した。


「おつかれ。今、Mt.R332に来ているんだが、あの機械をどこにおけばいい?」

義孝はとくに狼狽はしていなかったが、街と森がとつぜん何かの音楽を初めそうな気がしたので仄かな焦燥に囚われていた。早口であった。

「駐車場の裏手の茂みに。詳しい座標はあのソフトウェアでいつもの画面の検索欄に4486775を入力すればわかると思うよ。」

恭子は研究所で助手のアルバイトをしていた。時給が2000円程と待遇が良く、実は胸に秘めたる科学への関心の発露の方法として、うってつけの仕事であったのだが、その研究所の職員にはアルバイトを含め厳重な守秘義務があった。義孝は研究所の職員ではないが、取引先の調査関係の事務所で働いており、表向きは森の自然音の採集ということで、Mt.R332へ来ていた。

「ありがとう。事前に調べて行かなくてごめん。一々訊くことになって。4日後まで期日があったが、今日近くを通り過ぎるし、そういうときのためにいつもバッグにあの機械を入れておいたんだ。連絡がついて助かった」

「それにしてもそんな仕事をしていて車を持っていないなんて信じられないわね」

恭子と義孝は同い年であり、自然音採集の装置の仕事でたまたま協働することになる以前からの知人関係を持っていて、この仕事で一緒になるという偶然には二人とも驚いたものだ。

「飲酒運転したくないから免許もっていないんだ」

「どうやって採用されたの?」

「それはこっちの守秘義務で言えないよ」

「意地悪。今日はご飯は食べたの?」

「胃が激痛を起こしてたから、食べない気でいる」

2人はいつのまにか仕事と関係ない話を延々としていた。恭子はちょうど研究所でのアルバイトが終わってカフェでタバコを吸いに席に座っていた。このカフェってビルの12階の東側のテラスだけど、義孝のいるところから見えるのかしら、もし仮に双眼鏡でもあれば、ふとそんなことが頭によぎった。


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健蔵は街を徒歩で歩いた。歩きたばこはおそらく禁止されているであろうが、自分が歩いているのは路地裏で人がいない。何に憚るでもなく、ライターでタール20のタバコに火をつけた。健蔵は義孝と10代のとき交友関係にあり義孝の4つ年下であり、最近までは4年以上も会っていない仲であったが、独自の調査によって義孝が探偵業界で働いていることを知り、ある目的で近づこうとしていた。しかしそれはこの頃の失恋からの傷心によって難しくさせられていた。彼は自分が家にいるのか飲み屋にいるのか幻を見ているのか、それさえわからないときすらあった。恭子とは一度だけ会ったことがあり、その時は義孝と三人で義孝のアパートで日常会話を楽しんでいたのだが、恭子と健蔵が二人で差し向って話したということは特になかった。


街の中心にある駅から徒歩20分というところにある居酒屋。妙に感動するいたいけな命名の料理や酒、それは実際のところ、どんな食べ物でどんな液体でそこにどんな物質が含まれているか、それは店の営業上の秘密というよりもっとこう、世の中の事情でわけがわからなくなっている、そんな酒を血管に泳がせてアテをつっつく。どうでもいいことを、妙な視点からつっつくように、どうでもいいような人と、話す。話した。その声には虚無の風に漂う綾だけがあって、その綾には蕎麦からピアノ線から虹から音波まであれこれと戯れてはいたが、結局それは虚無。そして帰り道、電信柱ごしに見える高層ビル、建物と建物の間にちらつくネオンの光、暗くて見えないはずなのになぜか妙に目につく電線の交錯、薄汚い猥雑な街の夜風と澱んだ光、そんな路地を歩いて、意識はずっと虚無、ここには何もない、あの飲み屋もこの建物もあの光もこの風も、かりそめの形なんだろう。この風を感じる皮膚ですら。わけのわからない化合物か何かの入った酒が注がれた血も。気がつけば電車の記憶もないまま家にいた。


気付けのためにアルコール純度の高い酒と慰みにアブサンを混ぜてみて、飲んでみる。この喉の焼けるような痛みが、洞窟に津波の被害が押し寄せたときに岩が崩れていくみたいに快感で、外か光が洞窟の中につくる影の形を変えていく。そして幻が見えた。またあいつがやってきた。手元にあった鎌でも投げてやろうかと思ったが、それが幻だというのはわかっている話で、高いアルコール度数の酒を吹っかけて燃やしてやりたくなったが、あいつは物質ではない、風でも視覚印象ですらない、形而上の数学的な線や曲線が物質界にたまたま顔をだしたっていうだけのことらしい。あいつはまたいろいろと教えてくれる。


「奇形児って知ってるだろ。たとえば目が胴体あたりについて生まれてきた赤子。たとえば手がもう2本ほどついて生まれてきた赤子。たとえば身長が1m以下にしかならなかった青少年。そういう殺処分される素材というのは、今の世の中じゃむしろ利用価値があるものとして、秘密裏に研究を行ったりする組織にかくまわれて特殊な教育を受けたり特殊な環境で鍛えられたりする。で、危ない化学物質を大量に注がれた小人であったら運動能力を鍛えられ、追跡や工作の要員として利用される。他に、異様な頭脳をもって生まれてきたとしたらさらに化学物質を注がれて認識や知覚の機能を特異にさせられ、行動心理学の実験ラットにされるか、または諜報活動などの人材に仕立て上げられる」

あいつは薄笑いさえせずに、淡々と静かにこういう言葉を発した。酩酊していたので、どうでもよかった。家の奥にある生き物の死体が並べられている部屋、明かりは電灯でもなく蝋燭でもなく、アブサンなどによる脳の異常な活性化がひきおこす物の発光。時間は0時を過ぎていたが死体やらがらくたやらも、あいつの幻もはっきりと見えた。その鮮やかな幻の表情には気だるいが陰鬱でもない妙な冷たさ。相手をしないようにしようと思ったが、つい答えてしまった。

「それがどうしたって。そんなわけのわからん秘密裏の組織とやらなんてあったってなかったって秘密裏であって世の中の表には直接関係ないんだから」


詭弁のような文法にもなっていないような感じで自分でも苦笑した。あいつはいつもの淡々とした気だるい目ざとさでこちらの唇の動きを読んで、そこから返答を考えているらしい。こっちの酩酊した答えなんてどうでもいいといった風に。沈黙が続いていたしとりあえず意識を失うまで飲むか睡眠薬で無理やり寝るかしたかったので、炭酸リチウムとフルニトラゼパムをなんとなく手にとってみた合計15錠ほどを飲んでみた。どっちが何錠あったかなんてわかりやしない。眠りについてあいつの行ってくる不気味なそれでいて現実にありえそうな話から逃れたかった。が、こちらが錠剤を飲み終えると同時に、あいつは口を開いた。

「炭酸リチウムの作用機序って知ってるか。俺は知ってるが詳しくは言えない、単純だが脳全体に作用するから説明するには複雑になるってことなのだが。要は、脳内の電位を変化させることで安定させるってことだ。で、電磁波ってわかるよな。今の技術じゃそんなに大きくない装置でコストもかけずにそこそこピンポイントで強力な電磁波を照射させることができる。それにリチウムイオンによる脳内の電位変化が反応したらどうなるかわかるよな」

部屋は暗くなった。つまりもともと光がないが、アブサンなどによって視覚やその受容が活性されていたために、光がなくても物が光るように見える状態が、終わった。要するに、心がその言葉で説明のできない冷たい吐き気を催させるような、そんな感じになったせいで、アブサンの酩酊作用が消えただけのこと。つまり部屋は暗くなったと同時に、幻視であるあいつも消えた。


冷たい吐き気と炭酸リチウムが胃に齎す不快感で睡眠薬の効果も切れて、目が覚めた。部屋は真っ暗だったがランダムに手を伸ばしたところにあった古い蛍光灯のスイッチに指が触れ、明るくなった。雀の死体、10年以上前のおもちゃ、崩れた本棚、そういうものがさっきの幻視でみた悍ましい童話の趣とは違ったふうに、現実の有り様で見えて、不安感よりむしろ笑いの感覚が起こった。まさにその笑いの発作のとき、あいつの言っていたことが鮮明に理解できた。現実の社会上のこととして。


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義孝が自然音収集の装置の仕事を終えた次の日、23時頃、恭子と義孝はバーで主にプライベートなことを話していた。室内の明かりは暗め、内装は赤と青のオブジェクトが多く、シャンパングラスが逆さになって収納されていてる。しかし高級店というわけではなく、客層は残業のあったサラリーマンであったり、そこらへんの中年のならず者などが多く、タバコの煙が入店時は充満していた。客が減り、煙の濃度が薄くなったところで、恭子はふと健蔵のことを思い出し、少し眠そうにしている義孝に尋ねた。横顔はウィスキーグラスをぼんやり見つめていた。

「ねえお疲れのところ唐突に聞いてわるいけど、義孝、健蔵って人いまどうしてるの?」

「あいつなら、少なくとも3か月前に通話したときはIT系の会社で働いていて、公安関係の仕事のビジネスパートナーをしているらしいよ。ただ、あいつ飲んだくれだからすぐクビになりそうだし、たまにノイローゼみたいに朦朧としてるから、今はどうしているかわからないな」

義孝はふと、一週間に一度くらい訪れる悪い予感が頭によぎり、目を一瞬伏せた。

「そっか。どうしたの、なんか気分悪そう。酔うほど飲んでないのに」

「なんでもないよ。昨日の仕事で疲れただけ」


義孝は仕事柄、ライバル企業であったり暴力団関係であったり、または公安系の下請け地方公共団体であったりの調査員や探偵の類に追われることがあった。そのことは恭子は薄々気づいていて、気分の悪そうにしている義孝の代わりに、店内をそれとなく見渡していた。怪しい人物は特に見当たらなかったが、さっきと椅子の数が8つか9つも違っているような気がした。客が減ったとはいえ、この店は27時まで営業しているし、今からは終電を逃した客層がそれなりに押し寄せてくる時間でもある。


義孝は顔を上げてだるそうに甘ったるい語調で口を開いた。

「健蔵って本職以外に何かしてると思う?」

「知らない。ていうかほとんど知らない人だし、想像つかないわ。ただちょっと奇人っぽいなとは思った」

恭子は店内の様子を伺っていたためほとんど上の空で答えていた。

「今度、3人で会わないか。久々に。まだ前のが1回目だっけか」

「いいけど、なんで?」

恭子は興味なさそうという感じを装ったが、実はこういう話には興味津々で、怪しい香りのするものには飛びつく性格であり、その表れを義孝は察しとった。

「いやさ、あいつって、公安関係で仕事しているし、あいつのことだから本職の現場をスパイしそうだし、副業やってるとしたら俺がやってる業界関係かもしれなくて。ちょっと調べたい」

「私がいていいわけ?」

「その方が話を引き出しやすい」

「はいはい、どうせ私を道具のように使って話すんでしょう」

「悪いようにはしないよ」


(to be continued)

量子デコヒーレンス=観測  ← 浸透的エンタングルメント群

 Worked for 10s はい、 一般論としては「起こしやすくなる」と言えます 。 ただし、かなり重要な但し書きがあります。 量子コヒーレンスは、エンタングルメントの“前提条件”や“資源”になりうるが、それだけではエンタングルメントは発生しません。 エンタングルメントには、...